ライフステージ別診療

年齢に合わせた
適切な治療・予防

年齢に合わせた適切な治療・予防

年齢に合わせた適切な治療・予防

人生は「乳児期」「成人期」「老年期」などのライフステージに区切られます。ライフステージが進むにつれて、身体には多くの変化が生じます。

歯の本数は、ライフステージが進むほど減少する傾向があります。しかし、歯を失う原因は単に「年を取るから」だけではありません。適切なケアが行われていないことが本当の原因です。

定期的なケアを受けていない人は年間約2本のむし歯が発生するというデータがあります。むし歯は自然に治ることはなく、治療しても再発しやすい傾向があるため、やがては歯を失う可能性もあるのです。年齢を重ねても自分の歯を保つためには、予防歯科のケアを続ける必要があります。

家族全員のお口の健康を
守ることの重要性

家族全員のお口の健康を守ることの重要性

新生児のお口には、むし歯菌(ミュータンス菌)は存在しません。ミュータンス菌は子どもと接する家族から感染すると言われています。そのため、家族全員が適切な治療を受けることが重要です。

お母さんだけではなく、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんも定期的な健診を受けることで、子どものむし歯のリスクを抑えることができます。

妊娠期の治療

妊娠初期

妊娠初期妊娠の初期段階は、妊娠4ヶ月までの期間を指します。この時期は母体や胎児が非常にデリケートな状態であり、大きな治療は避けるべきです。ただし、体調が良好な場合は、検査や軽度なクリーニング、適切な歯磨きの指導などは行うことができます。具体的な治療については、お気軽にご相談ください。

妊娠中期(安定期)

妊娠5〜7ヶ月は安定期といい、ほとんどの治療が可能です。抜歯や歯茎の切開、インプラント治療といった出血が多い治療、治療時間が長い治療は行えませんが、むし歯治療や歯周病治療はできます。妊娠後期以降は体調の変化によって定期的に通うことが難しくなることも予想されるため、この時期に治療しておきましょう。

妊娠後期

妊娠後期妊娠の後期、特に8ヶ月以降はお腹が急激に大きくなり、体に対する負担も増加します。この時期の妊婦さんは、診療台の上で長時間仰向けになることが難しくなることがあります。妊娠後期になると子宮が大きく膨れ上がり、その圧迫によって胸郭が上に押し上げられ、肺や下大静脈に圧がかかります。これによって呼吸が困難になり、循環系にも影響が出る可能性があるため、なるべく治療は行わず応急処置にとどめ、出産後に治療を行うようにしています。

こども期

0歳~3歳 乳歯萌出期

「この時期にどのようなアプローチをするか」ということは、むし歯の予防だけでなく、将来の成果にも大きな影響を与えます。

乳歯がまだ生えていない0歳から始まる授乳の方法、抱き方、寝かせ方、食事のスタイル、呼吸の仕方など、影響が及ぶものはさまざまです。

3歳~6歳 乳歯列期

3歳から6歳までの期間は、乳歯が並ぶ時期です。3歳までに確立されたお口の健康の基礎は、生涯のむし歯や歯周病のリスクに大きな影響を及ぼします。
むし歯のリスクが高い、歯並びに問題がある、姿勢に課題があるなどの問題が顕著に現れる時期です。

また、永久歯の成長の準備が始まる時期でもあります。個々の特性に合わせて、少しずつ本人が行える範囲から予防ケアを進めていきます。

6歳~12歳 混合歯列期

6歳前後から永久歯が生え始め、乳歯と永久歯の交換が始まります。この時期に特に重要なのは、永久歯が正しく並び、機能すること、そして特に新しい永久歯がむし歯にならないようにすることです。

また、新しい大きな永久歯が生えた際に適切な歯並びと噛み合わせを実現することが重要です。さらに、生えたばかりの永久歯はむし歯になりやすい傾向があるため、適切な予防策を講じることが必要です。

12歳~20歳 永久歯列期

両親の管理下から離れて大人へと成長していく重要な時期です。しかし、同時にこれまで築いてきた予防の努力を失ってしまう可能性もある時期でもあります。悪習癖の発生、間食の増加、姿勢の悪化、歯磨きの怠慢など、さまざまな問題が起こり得ます。

定期検診や予防メンテナンスを行い、この時期を乗り越えられれば、お口の健康を維持できるようになります。

おとな期

成人期(18歳〜)

成人期(18歳〜)になると、むし歯の進行が速い方では神経の治療が必要になる歯が出てくることがあります。どのような治療方法を選ぶかは、その歯を長く健康に保つかどうかに大きな影響を及ぼします。適切な補綴物を選ぶことは、むし歯の再発を防ぐうえで大きな役割を果たします。また、美しく仕上げて、歯の見た目や機能を保つことも重要です。

現状では成人期の来院が他の年代に比べて少ない傾向があります。多くの人が歯が痛くなってからしか来院しないのです。むし歯治療を繰り返さないためにも、歯が痛くなる前に定期的な歯科検診やメインテナンスを受けることをおすすめします。

また、歯肉炎も成人期に多く見られる問題です。歯肉炎を放置すると、歯周病という顎の骨が溶ける状態に進行する可能性があり、口臭の原因ともなります。予防が非常に重要であり、適切な治療と予防を同時に行うことで、歯周病で歯を失うリスクを低減できます。

20~30代

20~30代になると、むし歯予防よりも歯周病予防が重要になります。むし歯は痛みを感じることが多く、進行すれば来院することが一般的ですが、歯周病は痛みを感じにくいため、大きく進行してから受診される方も少なくありません。

歯を失う原因の多くは歯周病であることがわかっています。そのため、20~30代からの歯周病予防は非常に重要です。

また、歯周病菌は早産のリスクを高める可能性があるため、妊娠を考えている方は、歯周病の検査を受けることをおすすめします。

40~50代

40~50代の年齢層では、歯周病の相談が最も多いです。

この年代の方々は、歯の健康に関わる問題が顕著になります。歯周病によるトラブルや歯の痛みが増えることが多く、それに伴って、被せ物の補綴治療やインプラント、入れ歯、審美修復についての相談も増加しています。

これには、これまでの生活による歯の摩耗や歯周病の進行が影響しています。適切なケアと定期的な歯科検診を続けることで歯のトラブルを予防し、健康な状態を保つことが大切です。

60代~

60代以降の年齢層では、再びむし歯のリスクが高まります。

この年代では、薬の副作用によって唾液の分泌量が減少することや、歯周病によって歯茎が後退することなどが影響して、歯の根元のむし歯が発生しやすくなります。

また、歯周病の進行を抑えることで、全身の健康状態を良好な状態に保つことができます。

この年代では、定期的な歯科検診と適切なケアを続けて、歯と口腔の健康を守っていくことが大切です。

高齢期

壮年期には、口腔の機能が低下するオーラルフレイルの問題に注意が必要です。口腔乾燥や咀嚼環境、嚥下反射などの問題が起きることがあります。このような問題を早期発見するために、定期検診とメンテナンスを習慣化することが大切です。

食事の飲み込みが難しくなったり、口内の乾燥が気になるような症状を感じる方は、歯科医院に相談することをおすすめします。